クリパルヨガの戦士のポーズ

数あるアメリカンヨガの流派の中でもメジャーなビクラム、クンダリーニ、クリパルの3つは、クリシュナマチャリア師の流れを汲んではいない。
他の伝統的な流派とポーズ名と神話は共有しているものの、クリパルの戦士のポーズは1950年代にスワミ・クリパル師が練習中に天来の霊感によって授けられたものだという。

「私たちの伝統では、十分に深い瞑想状態に入れば、ハタヨガは完全な形で現れると考えます」とマサチューセッツ州ストックブリッジのクリパルヨガ・センターの上級ヨガ指導者であるリチャード・フォールズは語る。
「それがスワミ・クリパル師に起こったのです。38歳の時、彼の進化的なクンダリーニ・エネルギーが目覚め、彼の体は自然発生的にすべてのポーズを行ったのです」

スワミ・クリパル師がこの世界へ導き入れた戦士のポーズは、ひとつの主要なディテールにおいて異なる。
つまり、後ろ足のかかとが地面から離れているのだ。
しかし、これがもっとも重要なわけではない。

「ポーズは体を開き、自らの存在に目覚める為のツールだと私たちは考えています」とフォールズは言う。
「クリパルヨガで私たちがいつも尋ねる質問は、『このポーズはあなたに何をもたらしますか?』ということです」

答えは、もちろん個人的なもので、一人一人違う。
しかし、概して戦士のポーズⅠはある種の力を導き出す。

女神への讃歌

このポーズでの2番目の原則はマスキュラーエナジーだ。

「いつも真ん中に向かって筋肉を引き締めています。つまり、パワーの源へと締め付けるのです」

これが足のハサミ運動を生み出すことになる。

 

3番目は、内側へのスパイラル。

「後ろ足を内側に向けることによって、大腿骨は後ろへ下がり、腰は広がります。これによって腰の後ろを容易に前方へと回転できます」

 

そして4番目の原則は、外側へのスパイラル。

「外側への螺旋運動は、前足の太ももで強調されることで、両足を引き合わせ、尾骨を前方に引き伸ばします」
「これによって、内側へのスパイラルの働きとバランスをとるのです」

 

最後の原則は、オルガニックエナジーである。

「骨盤のコアにフォーカスして、尾骨と仙骨が出会う地点に光の小さな球を描きます。そこからすべてが外側に広がり、太陽のように輝きます」

このポーズの鍵となるのは最初の原則で、「内面を明るく照らして外面がリラックスできれば、それほど頑張る必要はありません」と結論付ける。

「ポーズはその人の意図すべてを表現しており、それは宇宙の創造力であるシャクティを称えるためかもしれません。結局、ヴィラバドラはひとりの女性の為に仇討ちをしたのです。そのように考えると、このポーズは真に女神への讃歌なのです」

起源となった伝説と不即不離の関係

アヌサラヨガでは、このポーズは起源となった伝説と不即不離の関係にある。
2つを別々にするとそれはヨガではない、とアヌサラヨガの創立者であるジョン・フレンドはいう。

「私は講演で何人かの男たちが腕を頭上に上げてランジのポーズをとっているのを見ましたが、彼らはただお尻を鍛えているだけでした。
戦士のポーズⅠをする時、あなたはお尻や足を鍛えるだけでなく、体を通して意気揚々と自分の気持ちを表現しているのです。
私は、気持ちが内側から外側へ出てくるように、生徒たちにポーズの背景を理解して欲しいです。」

フレンドはこのポーズにおける5つの主要なアクションを挙げる。
そしてそれぞれが、アヌサラヨガが提唱するアラインメントの5つの普遍的原則に対応している。

「最初は、神の愛への目覚めです。これは、神の存在を常に意識することです」
「ヴィラバドラは神から生まれたが故に強いのです。このことを忘れなければ、体の内側は光り輝き、体の外側はこの内面の光を優美にまとうのです」

グランティとは

グランティとは、人体の中を流れる気をブロックするエネルギーの結び目である、とミラーは説明する。
からまるように感じる場所と考えてもいい。

グランティには3つのタイプがあります。ブラーマ・グランティは仙骨に司令塔を置く肉体の結び目、ヴィシュヌ・グランティは心臓に位置する感情の結び目、シヴァ・グランティは第3の目とつながっている精神の結び目です。

アシュタンガ流で練習していると、戦士のポーズⅠは3つすべてのグランティに同時に作用して、肉体、心、精神のもつれやからまりを解くのを助ける。

ポーズの肉体的な摂理はブラーマ・グランティに、呼吸への集中は胸部にある感情の結び目に、ドリシティという視線の焦点は意識に集中することによって精神の結び目にそれぞれ働きかける。
「このポーズは、すべてのエネルギーレベルに働きかける、ひとまとめのパッケージなのです」とミラーは言う。

フローこそアシュタンガヨガの真髄

戦士のポーズⅠは、アシュタンガヨガの太陽礼拝Bシリーズを特徴づけるものだろう。
「太陽礼拝Bでは戦士のポーズⅠを左右両サイドで交互に何度か繰り返します。体が温まってくるとより深くポーズに入れます」とティム・ミラーは説明する。
「またすばやく行われる為、ポーズの生体力学を考える暇さえありません。フローの中で行うことがもっとも重要なのです」

フローこそアシュタンガヨガの真髄である。
「フローによって意識を集中できるのです」とミラーは語る。
「それはより右脳的なアプローチです。すべてを理解しようということではありません。正しい方法はひとつだけではないのです。だからといって、いい加減にやっていいということではありません」

ポーズ自体はおなじみのものだ。
前足を90度に曲げて、後ろ足はまっすぐに伸ばし、足の外側を押し付け、腰はまっすぐ正面を向き、両腕は頭上へ伸ばす。しかし、ひとつだけ重要な違いがある。アシュタンガヨガでは、T・クリシュナマチャリア師のもうひとりの生徒だったスリ・K・パタビ・ジョイス師が教えるように、前足の膝がつま先に沿って足首より前に伸びているのだ。

これがこのポーズの最終目標であるが、すべての生徒にとって安全もしくは実践可能というわけではない、とミラーは指摘する。
ミラーによると、この練習によって肉体の限界を超える効果があるという。
「前足がより深く入っていくと、仙骨の周辺部位へと深く入り込み、グランティにアクセスできるのです」と言う。

アイアンガーヨガを代表するポーズ

このポーズには数多くのアクションがあり、アプトの指導は綿密を極める。
上半身のツイストは、背中の後ろ中央の肋骨部分から始まると彼女は言う。

背面はせり上がって前面に向かって押し出される。
腹部は引き上げられるが、お尻は下方に動く。
尾骨と肩甲骨は前方へ動くが、腰椎を圧縮しないように注意する。

後ろ足の外側はしっかり床に押し付ける。
両腕は剣のようにシャープに。
頭は神に勝利の捧げものを供するように見上げる。

さらに、このポーズは後屈への入り口にもなる。
「このアーサナの実習を通じて、後屈時に腰背部を圧迫しない為に必要なすべてのアクションを学べます」とアプトは言う。
「戦士のポーズⅠによって、尾骨を前に動かし、胴体を下半身から持ち上げることができるのです。同時に、頭を後ろに安全に傾け、肩甲骨を前方の胸部へと突き出し、腕を力強く伸ばすのです」。

これらはまさに、逆転のポーズ、ツイスト、前屈のポーズだけではなく、ウルドゥヴァ・ダニュラーサナ(上向きの弓のポーズ)のような難度の高い後屈を行う時にも必要なアクションとなる、とアプトは指摘する。

このポーズでは、どこか体の一点に集中することはない。
「体の両サイド、つまり左と右はまったく違う動きをするのです」とアプトは言う。
「このポーズはとても洗練されていて、アイアンガーヨガを代表するものです。どこか一点にフォーカスするのではなく、あらゆるところに意識を広げるのです」

アメリカンヨガの黄金律

戦士の物語は古代のものでも、アーサナはほぼ近代の発明と考えられる。
「戦士のポーズは、アーサナの古典文献には載っていません」とリチャード・ローゼンは指摘する。
「出自は定かではありませんが、おそらくは約70年前にT・クリシュナマチャリア師によって考案されたのでしょう。つまり20世紀のポーズであり、アーサナの進化の一部と考えられます」。

また、このポーズの普及は、クリシュナマチャリア師の生徒で義理の弟のB・K・S・アイアンガー師の功績であり、その概念と緻密なアラインメントは、アメリカンヨガの黄金律ともいわれる。

アイアンガー式の練習は、霊感と実践の間の適切なバランスを見つけることを意味する。
「アイアンガー師のポーズを見ると分かりますが、激しいポーズにもかかわらず、完璧に調和がとれています」とロサンジェルスのアイアンガーヨガ・インスティチュートの認定指導者であるマーラ・アプトは語る。
「私たちが求めるのは攻撃的ではない戦士のエネルギーです。私たちの心はポーズのアクションの中に溶け込んでいるのです」

ヴィニヨガのポーズ

マット後方にタダーサナ(山のポーズ)で立つ。
両足は肩幅のまま、右足を一歩前に踏み出して、前後に容易に体重移動ができるようなスタンスをとる。

息を吸うと同時に右膝を曲げて、肩を後ろに引き、腕を頭上に持ち上げ、指を組んで手のひらを反して天井に向ける。
そのとき上腕部が耳に沿うようにする。

胸をやや前方に押し出し(胸が腰より前に出る)、上背部にアーチを描く。
胸骨はへそから引き離すように持ち上げる。
重心を固定し、両足を同等に床に押し付けながら、あごは水平のまま前を見つめる。

息を吐きながら腕を下ろし、右足をまっすぐに伸ばしてスタート地点に戻る。
次の吸う息で右足を曲げて再びポーズに入り、呼吸を2秒間保持する。
呼吸をしながら、さらに5回ポーズを続けたら、踏み出す足を替えて同じように繰り返す。

練習する人の数だけバリエーションがあり、体の様々な機能的な潜在力を引き出す。

クリパルヨガのポーズ

タダーサナ(山のポーズ)で立つ。
両足を腰幅に広げたまま両手を腰の上に置き、息を吐きながら、右足を前方に大きく一歩踏み出す。
左のかかとを床から離す。

右膝を曲げ、腰を床に向かって沈める。
右膝はちょうど足首の真上にくるようにする(基盤が強固なポーズをつくるなら、必要に応じて左足を後ろにスライドする)。

左腰骨を前、右腰骨を後ろに回転させ、腰を前方にまっすぐ向ける。
引き上げている左足のかかとを押して、足の筋肉を引き締めて足をまっすぐに伸ばす。

息を吸って、両腕をサイドからすばやく頭上に引き上げ、肩幅で平行になるように離したまま、手のひらを内側に向ける。
胸骨を引き上げながら腰を床に向かって沈め、頭頂部を伸ばし、指先を天井に向けてまっすぐ押し上げる。
そのまままっすぐ前方を見つめる。

このポーズは体を開き、自らの存在に目覚めるためのツール。

アヌサラヨガのポーズ

両足を120センチほど開き、腕をサイドに伸ばす。
ひと息ついて、内面を勇敢な輝きで満たす。
胸を持ち上げ、右(前)足を90度外に向け、つま先がかすかに内側に向くように後ろのかかとを回転させる。

両かかとをまっすぐにそろえる。
左足はしっかり床を押し、腰はマットの前方に向ける。
マスキュラーエナジーを使って、両足を正中心に向かって締め付け、腕の骨を肩のソケットに差し込んで両腕を空に向かって差し上げる。

肩甲骨を後ろへ引き下げて心臓に向かって丸め入れ、肩甲骨を腰回りの間のスペースを作る。
意気揚々と胸を引き上げる。

膝が足首の真上にくるように右足を90度曲げる。
左太腿を内転させ、右腰の外側を引き下げる。
右太腿を軽く外旋させてバランスをとる。

内側へのスパイラルで腰を広げたら、外側へのスパイラルで尾骨をすくい上げる。
仙骨が尾骨と出会う場所で光り輝く球体をイメージする。

これがオルガニックエナジーの源であり、ここから根を下ろし、勝ち誇ったように頭頂部に向かって広がる。
喉を少し後ろに曲げ(しかしあごは押し込まない)、自然なカーブを保ちながら首を伸ばし、戦士のパワーの源は神の愛であることを念じながら天井を見上げよう。

ヴィドバドラが神から生まれたことを想起すれば、体の内側は光り輝き、外側はこの内面の光を優美にまとう。