足を使って背骨を伸ばす

戦士のポーズⅠの準備ポーズで両足を働かせ、後背部にスペースを作るようにしよう。
まず、マットの先端を前にして、ターダーサナ(山のポーズ)で立つ。

左足を120~150cmぐらい後ろにステップする。
前後のかかとを一直線上に置く。

不安定さを感じ、もっと安定させたい時には、両足を腰幅に開く。
左足のつま先をマットの左上の角の方に向ける。
後ろの太腿の外側を回して骨盤を前に向け、マットの先端と平行になるようにする。

 

腰に手を置き、足全体の筋肉を引き締める。
前の足の4つの角を下の方へ均等な力で押し、太腿を引き上げるようにしながら、足の筋肉を骨盤の方に引き上げる。
後ろ足の土踏まずを引き上げるようにしながら、足の外側はマットにしっかりつけておくようにする。

この後ろの足を引き上げる動きを続けながら、すねの内側を使い、後ろの足の内側全体を上まで引き締めていくように、ひざの内側を締め、引き上げていく。

次に、後ろの足の内側全体を後ろの壁の方に内旋する。
すると、腰のあたりにスペースができ、尾骨と仙骨が下の方へ伸びていく。
手を使って骨盤の前面を引き上げ、尾骨を下ろす。
その時に腹筋が引き上がり、後ろの足と腰のストレッチが深まるのを感じよう。

 

後ろ足の太腿と骨盤の全面が気持ちよく伸びているのが感じられるはず。
この前のステップで行ったように、手を使って骨盤を引き上げ、もっとまっすぐにする。
視線は前に定め、長くてスムーズに呼吸を安定させる。
反対側も同様に行う。

低いランジの体勢で太ももの前面を伸ばす

低いランジの体勢で太ももの前面をしっかり伸ばし、骨盤をまっすぐに引き上げる練習をしよう。

まず、ダウンドッグから右足を前に出して両手の間におき、後ろの膝を床に置いたブランケットに下ろす。
前後のかかとが一直線上になるようにするか、バランスがとりやすいよう、両足を腰幅に開く。

手の指先をマットの上に付き、左太ももの前面の伸びを感じるまで体重を前にかけていく。
前の膝をかかとの上に戻す。
大腿骨を股関節のソケットに引き入れながら、前の足のかかとで床を押し、前の太腿を働かせる。

 

胴体をまっすぐ引き上げながら、両手を前の膝に置く。
手で太ももを押す力によって、腸骨稜の前面を引き上げる。
その時、伸びを感じる部分が、前の太腿の中央から股関節の前面にどのように移動していくのかを観察する。

腹筋を働かせ、腸骨稜をさらに引き上げ、尾骨を伸ばしながら下す。
その時、体重を少し後ろの足にかける。

 

もう一度体重を前の曲げた足にかける。
その時、前の大腿骨を後ろに引いたまま、体重を前方に移して行けるだろうか?

膝はかかとの上に来るようにする。
体重を前にかけてストレッチ↓状態と、腹部を引き上げて骨盤をまっすぐにしたポジションの間のバランスを探求しよう。

最後に息を深く吸い、胸を引き上げながら腕を頭の上の方に伸ばす。
ここで数回呼吸をし、反対側も練習する。

2つの動きの関係を探究

膝を曲げようとすればするほど、骨盤をまっすぐにするのが難しいことに気づくだろうか。
そして、下腹部の筋肉を少し引き上げてみると、どのように腰が伸びるだろうか。

このような探究を自分の体で行うと、股関節や股関節屈筋の柔軟性や、腹筋の強さがだんだん分かってくる。
この動きが、他の時より楽にできると感じる日もあれば、体が温まっていくうちに、可動域が大きくなるのが感じられることもあるだろう。
前の膝が完全に90度まで曲がらない間は、自分が行うべきことを明確にし、それをしっかりと練習することで達成感が得られるだろう。
そして、成果がどんなものであれ、挑戦する意志を持つことに深い満足感が得られるはずだ。

戦士のポーズⅠのプラクティスは、体の強い部分や弱い部分、そして硬い部分がどこなのかを教えてくれるが、もっとも重要なのは、自分の体の中にある動きを阻むものがどんなものであれ、それを受け入れる姿勢を学べることだ。
そして、時間が経つにつれて、この力強いポーズを深まった形にしていくために安定性や気付き、スキルが生まれてくるだろう。

集中力とチャレンジに向き合おうとする決意が問われるポーズ

戦士のポーズⅠ(ヴィーラバッドラーサナⅠ)は、集中力とチャレンジに向き合おうとする決意が問われる、力強い立位のポーズだ。
ポーズの完成形では、複数のことに同時に集中して取り組まなくてはいけない。

また、このポーズでは、体を逆方向に引っ張られるように感じられる、いくつかの動きを一度に行う必要がある。
つまり、床をしっかりと押しながらも体は引き上げ、後ろに伸びながらも前に押さなくてはならないのだ。
次々と戦いに挑んでいくように感じられることもあるが、この基本的なポーズを習得すると、素晴らしい効果が得られる。

まず、太腿の筋肉が鍛えられる。
そして、足と足首が伸ばされて鍛えられ、コアの筋肉が引き締まる。
さらに、腕を頭上に伸ばすことで強化され、胸が開いて肺が広がり、活力がみなぎるのが感じられる。

また、股関節と胸を開き、両手足を鍛えると、さまざまなバックベンドや逆転のポーズを行うための準備にもなる。

このポーズではさまざまな異なった動きをする為、練習の際には毎回ひとつの動きを選び、それに集中しよう。
多くの生徒にとって、もっとも難しいチャレンジの一つが、腰を圧迫せず、胴体を上の方へ伸ばしながら、前に出した足の膝を深く曲げておくことだ。

ここでは、骨盤の位置がカギになる。
もとから、股関節屈筋(太腿の前から骨盤へと走る複数の筋肉。この働きにより、広い歩幅でしっかりと歩くことができる)の柔軟性がとても高くなければ、前に出した足の膝を90度に曲げていく時に、腰が圧迫され、骨盤上部が前傾することが多い。

そうではなく、腸骨稜を引き上げ、骨盤をよりまっすぐ、あるいはニュートラルなポジションに持っていくようにしよう。
腸骨稜は、ウエストを両手で包み込むようにした時に下腹部の両脇で感じられるところにある。
膝を90度に完全に曲げておくよりも、膝を伸ばしながら、骨盤をこの位置に持っていくようにする方が大切だ。

ヨガの共通テーマである精神の探求

ヴィラバドラーサナⅠ(戦士のポーズⅠ)をやって、苦しさに喘いだことのある人なら誰もが、このアーサナが宇宙のカオス、死、破壊などから触発されて生まれたと知ってもさほど驚くことはないだろう。

多くのヨギ、特に初心者は、あまりの複雑さ、つまり伸張と収縮、ひねりと後屈、内向きと外向きの回転、強靭さと柔軟性の絶え間ない対立にすっかり追いつめられたような感情を抱くかもしれない。

しかしその一方で、戦士のポーズの物語は強烈なアイロニーを含んでいる。

「ヨガの理想がアヒムサ(非暴力)であるとするなら、たくさんの人々を殺戮した戦士を賞賛するポーズを練習するのはおかしいのではないかという疑問が生まれます」と言うのはカリフォルニア州のヨガスタジオのディレクター。

その質問に答えるには、インドの神話的な伝承を考察する時の常でポーズの象徴的意味合いを考えなければならない。

「ヨギとは実は自分自身の無知と戦う戦士なのです。
私が推測するには、戦士のポーズⅠは自分自身の限界を超える為のポーズなのです」

サンディエゴのアシュタンガヨガ・センターのディレクターも同意する。

「戦士のポーズは謙虚さを培うポーズです。
長い時間ポーズを保とうとすれば、あなた自身の身体的、感情的、精神的な弱さと向き合うことになるでしょう。
どのような限界があろうとも、ポーズによって明らかにされる限界に真剣に立ち向かうことになるのです。」

このように考えると、戦士のポーズⅠを練習することは、「信念に従って果敢に戦う」ととらえることができるだろう。
このポーズの形は高潔で強靭なシヴァ神の足元から生まれたモンスター戦士、ヴィラバドラの身体的描写であるという。
理解と意志を持ってこのポーズを練習するとそのようになれるのだ。

言い換えれば、このポーズの本質は、ヨガの共通テーマである精神の探求にあるのだ。
他のアーサナ同様にこのポーズにはたくさんのバリエーションがある。
ヨガの流派やクラスによってポーズのディテールは違っても、そのエネルギーの高さは変わりない。

ここでは5つの伝統的流派(アイアンガー、アシュタンガ、アヌサラ、クリパル、ヴィニヨガ)を代表する著名な指導者が、戦士のポーズⅠの理解を深める為に独自の知識や意欲を喚起し、あなたの中に眠る戦士のパワーを目覚めさせてくれるだろう。

戦士のポーズⅠの現代的なバージョン

バリエーションには、スタンスの位置や幅、腕と頭の位置、前足の膝の角度、後ろ足の回転度、腰と肩の関係などが挙げられる。

「前足の太腿が床と平行になるくらい広いスタンスをとれば、足を強化することができます」と彼は説明する。

「もしスタンスを狭くし、腕を床と平行に保ち、肩甲骨をお互いに引き寄せると胸椎後湾(背中上部の過度の湾曲)を矯正するのに役立ちます。前足の上に同じ側の腕を休ませ、胸を上前方に突き出し、もう一方の腕を引き上げることによって、腸腰筋がストレッチされます」

戦士のポーズⅠの現代的なバージョンは、古代インドの武術のスタンスが基本となっているとクラフトソーは説明する。
「戦場にあってもエネルギーを浪費することなく、前進と後退ができます」と彼は言う。

「このポーズはスタンスが広いため、前後へのステップが容易になります。重心は低く、よって体は安定して足は地面にしっかり根付いている。勇気の象徴として胸は開き、視線は戦場のはるか前方をしっかり見据えているのです」

アーサナの大ヒット

アメリカのヴィニヨガ・インスティチュートの創立者であるゲイリー・クラフトソーは、戦士のポーズⅠをアーサナの大ヒットと考えている。
「万人にとって核となる10~15のポーズがあるとすると、これはそのうちのひとつです」と彼は言う。

「足と背中を強化し、背骨を正しい位置に戻し、腰筋をストレッチし、骨盤を開き、股関節を安定させ、呼吸を深めてくれます。自身と勇気をもたらす象徴と見なすこともできます。その意義を理解しているなら、効果はさらに高まるでしょう」

クラフトソーは、このポーズをT・K・V・デシカチャールから学び、デシカチャールは父のクリシュナマチャリアから学んだ。
ヴィニヨガのッ伝統では、アーサナは主に治療的に利用され、一対一で教えられるため、先生は生徒によってポーズを変えていく。

「戦士のポーズⅠには何が正しく、何が正しくないということはありません。実際、このポーズを練習する人の数だけバリエーションはあるのです」とクラフトソーは言う。
「それによって、体の様々な機能的な潜在力を引き出すのです」

ポーズは私たちの感情全てを噴出させる安全な場になる

「このポーズは、強靭さと素直さと、無防備ささえも同時に培います」
とフォールズは説明する。

「これらは、私たちの多くがあまり得意としないことです。私たちは、強いは頑固者で、素直は軟弱者であると思いがちですが、クリパルヨガの目的は、この意志の力と心の解放とのバランスなのです。私たちには、エネルギーを生み出す意志の力と、世界に影響を与える精神の力が必要です。しかしまた、人生におけるチャンスをありのままに見られるように感情に身を委ねることも必要なのです」

このポーズは、湧き上がってくるさまざまな感情、特に人生の豊かな表現を抑制しようとするやっかいな感情を探求するのに最適です、とフォールズは言う。

「戦士のポーズⅠであなたが引き出す強さはまた、怒り、不満、敵意などをもたらすことがあるかもしれません」
「このポーズで私たちはこれらのエネルギーを生み出し、自分たちでそれを完全に感じ取ることができます。私たちは感情や感覚の波に乗ることを学び、それによってポーズは私たちの感情全てを噴出させる安全な場になるのです」

クリパルヨガの戦士のポーズ

数あるアメリカンヨガの流派の中でもメジャーなビクラム、クンダリーニ、クリパルの3つは、クリシュナマチャリア師の流れを汲んではいない。
他の伝統的な流派とポーズ名と神話は共有しているものの、クリパルの戦士のポーズは1950年代にスワミ・クリパル師が練習中に天来の霊感によって授けられたものだという。

「私たちの伝統では、十分に深い瞑想状態に入れば、ハタヨガは完全な形で現れると考えます」とマサチューセッツ州ストックブリッジのクリパルヨガ・センターの上級ヨガ指導者であるリチャード・フォールズは語る。
「それがスワミ・クリパル師に起こったのです。38歳の時、彼の進化的なクンダリーニ・エネルギーが目覚め、彼の体は自然発生的にすべてのポーズを行ったのです」

スワミ・クリパル師がこの世界へ導き入れた戦士のポーズは、ひとつの主要なディテールにおいて異なる。
つまり、後ろ足のかかとが地面から離れているのだ。
しかし、これがもっとも重要なわけではない。

「ポーズは体を開き、自らの存在に目覚める為のツールだと私たちは考えています」とフォールズは言う。
「クリパルヨガで私たちがいつも尋ねる質問は、『このポーズはあなたに何をもたらしますか?』ということです」

答えは、もちろん個人的なもので、一人一人違う。
しかし、概して戦士のポーズⅠはある種の力を導き出す。

女神への讃歌

このポーズでの2番目の原則はマスキュラーエナジーだ。

「いつも真ん中に向かって筋肉を引き締めています。つまり、パワーの源へと締め付けるのです」

これが足のハサミ運動を生み出すことになる。

 

3番目は、内側へのスパイラル。

「後ろ足を内側に向けることによって、大腿骨は後ろへ下がり、腰は広がります。これによって腰の後ろを容易に前方へと回転できます」

 

そして4番目の原則は、外側へのスパイラル。

「外側への螺旋運動は、前足の太ももで強調されることで、両足を引き合わせ、尾骨を前方に引き伸ばします」
「これによって、内側へのスパイラルの働きとバランスをとるのです」

 

最後の原則は、オルガニックエナジーである。

「骨盤のコアにフォーカスして、尾骨と仙骨が出会う地点に光の小さな球を描きます。そこからすべてが外側に広がり、太陽のように輝きます」

このポーズの鍵となるのは最初の原則で、「内面を明るく照らして外面がリラックスできれば、それほど頑張る必要はありません」と結論付ける。

「ポーズはその人の意図すべてを表現しており、それは宇宙の創造力であるシャクティを称えるためかもしれません。結局、ヴィラバドラはひとりの女性の為に仇討ちをしたのです。そのように考えると、このポーズは真に女神への讃歌なのです」